2008年11月2日日曜日

08-09スケートカナダ

(注:この記事は2009年4月8日に書いています)

スケートカナダのライサチェック雑感。


<SP:ボレロ>

コンビネーションジャンプの痛恨のミスにより
4位発進に甘んじる。
こればっかりはミスだから仕方がない。
しかしノーカウントになったとはいえ
71点台を出したのは成長だと思う。
というのも、彼の場合は普段はSPで大失敗して
フリーで巻き返す試合運びが多かったため
SPで60点台とかザラにあったのだ。
それを思うと、約10点を失ったにも関わらず
70点台が出せるようになったとは・・・
(しかし、一方でジュベたんはエリック杯において
4-3で14点稼ぐ予定がミスでほぼ得点にならず
それでいて73点台を出しているため
上には上がちゃんといることを肝に銘じておきたい)

それにしてもフリップがルッツに見えてくるくらい
ライサのフリップって踏み切り怪しいよねと思った。
(これはジュベたんもそうなのですが)
ただし今のルールは厳正すぎて、昔はそのへんは
もっと大雑把だったことを考えると
そのあたりは旧採点で育った世代は不利ですよね。

序盤のジャンプの失敗のため、
全体的な勢いとかインパクトはスケートアメリカの方が
良かったのは言うまでもない。
それでも最初の表情とか非常に気合が入ってるし
この試合から中盤のサーキュラーに注目するようになりました。
(シーズン後半は、このあとずっとサーキュラーに
釘付けになってしまうのですが)

あと特筆すべきなのは、今までSPが苦手と言われたライサが
今シーズン通して大きなミスをしたのはSPはこの試合だけなんですよ。
これってすごくないですか。だって、あのライサですよ(苦笑)。
スケートカナダ以外の試合はSPはほぼ完璧っていうのが
何気に今シーズンのライサの注目ポイントだったのかもしれないと
今更ながら感じております。
もちろん、ワールド優勝にもつながったのもその成果でしょう。
地味~に、苦手なSPをまとめる力をつけたライサを
ここで褒めてあげたい。よくやった。
だから、このスケートカナダでのSPのミスは
その後への教訓としてちゃんと残ったと思うのです。よしよし。


<フリー:ラプソディー・イン・ブルー>

SPまさかの4位で表彰台の危機!
えー、正直、スケートアメリカが終わった時点で
「スケートカナダでライサは表彰台無理かもしれない」と
なんとなく感じていました。
たとえステ様やジェフ君がいないとしても連戦だし、
地元で勢いのあるパトちゃんやソーヤーが
ここで伸びてきそうな雰囲気があった。
ライアンもヴォロノフ君もいたし。
まして、今季のフリーは爆発的な点数が出るような
プログラムではないとすでに判断していたので
SP4位と聞いた時点で「やっぱり表彰台無理かな~」なんて
考えてたわけですよ。その当時、友人の結婚式で
札幌に行ってたんですがね(苦笑)
結果的に3位で、表彰台には乗ったけどファイナル無理っぽいという
なんとも歯切れの悪い結末が待っていたわけですが。

さて、結果はともかく演技の方。

このフリーの演技が「ラプソディー・イン・ブルー タラソワ編完全版」と
言っていいでしょう。スケートアメリカで出し切れなかった
新プログラムの全貌が明らかに! という感じで。
ライサ本人が「クワドなしのフリーも用意してるよ」と言ってた、
まさにそれを実現してきました。
さすがSPで失敗→怒涛のフリーで巻き返しに慣れているだけあって
どの要素もきっちりまとめて、あわよくば表彰台の中央に巻き返すぜ!
・・・といった気合いも感じられたのですが、
いかんせん、演技構成点が下げられまくり。オ~ウ!!

いや、トリプルアクセルとループのダウングレードがあって
技術点もかなり低く抑えられていたのは言うまでもないです。
たしかにジャンプの質は良くなかった。
着氷の悪い癖が出ていたな、と。
でもアクセルは・・・正直「??」という感じ。
スローで再生されないとわからない。
ただこの試合で、いくら質の悪いジャンプを跳んで成功させても
ちゃんと点数が出ないっていう今年のジャッジの傾向が明確に。
今だから「ああ、ライサはジャンプの悪い見本にされたんだ」
ってわかるけど、その当時はライサ本人も、
そして私を含む世界中のライサイドの人も
「そんなにトリプルアクセルがダメなのかな?」と
深刻に思いつめたはず。
しかし明らかに着氷がピサの斜塔(=斜め)になってるとか、
オーバーターンしたとか、ツーフットになったとか、ぐらついたとか、
そういうわかりやすいミスをしてない状態で、
そんなにダウングレードとられてもなあ・・・可哀相。
・・・というのが(一応の)ファンとしての気持ちです。

そして事前に「スケートカナダではクワドはやらない」と宣言して、
確かにクワドなしのバージョンを滑りきったわけですが
これが3位という結果となり、裏目に出たのか、
功を奏したかは何ともいえない(苦笑)
でも「クワドなし」のフリーを試してみたかった気持ちが
あったんじゃないですかね。
スケートアメリカでクワドやって0点扱いで
「チクショー!」っていう気持ちもなかったわけではないでしょうが。
最終的に、ワールドで「クワドなし」のフリーをやることになって
それが上手くいった上での優勝だったことを思うと
このスケートカナダでそれを試しておいて
良かったんじゃないかと今では思いますが。
でもこの当時、クワドに挑まず3位という結果で
メディアに散々書かれたのが今では懐かしく感じるんだぜ・・・


で、演技構成点のことに話を戻しましょう。
えー、当時の私はスケートアメリカの結果と
新しいプログラムがなんだか微妙だということにガッカリしていたので
正直あまりスケートカナダでの得点は意識していなかったんですけど
今思うと、スケートアメリカ→スケートカナダの連戦で
演技構成点ガタ落ちじゃないですか。酷いわこりゃ。
前より下がったなーとはわかっていたけど、
こんなにあからさまに下げられていたとは。
「なんでこんなに低いの!?
スケートアメリカより振り付けも予定通りに、
音楽にもどうにか合わせて、質のよいパフォーマンスを
見せたはずなのに!!」と、当時のライサイドな皆さんは
感じたことでしょう。私はそう考える元気さえなかったけど。

それにしても・・・なんでこんなに低いんだろう(←今更)。
あれだけつなぎも頑張ってるのに、トランジッションの点数が特に低い。
うーん、ここにきてライサの評価がガタ落ちしたのは
なぜなのかサッパリわからない。
ひとつ言えるとしたら、タラソワ編のこのフリーは
あまりジャッジの好みじゃなかったんだろうね。
この試合はどっちかっていうとクラシカルな選曲が好まれた感があり
そして芸達者なライアンというツワモノがいて、
ライサがどことなく中途半端に見えたのは否定はしない。
そもそも「ラプソディー・イン・ブルー」自体が
ジャズなんだかクラシックなんだか、というジャンルの曲だから
よほどうまくやらないと印象に残りづらいリスクはあったんですよね。

スケートアメリカでは選手の選曲のラインナップが
これといった真新しい感じのものがなく、
演技も初戦だから、みんなどことなく味付けが薄くて
その中だったら、ライサの大柄ではっちゃけたパフォーマンスは
十分輝いて見えたことでしょう。(実際見えました)
ところがスケートカナダでは若いのにクラシックの表現がやたら上手い
パトちゃんがいた。柔軟な身体で表現してくるソーヤーもいた。
そして面白プログラムをやらせたら天下一品のライアンもいた。
さらにいうとポンセロ、ヴォロノフという自分に似合うプログラムを
持ってる選手もいて、その中でライサはやはり中途半端だった。
あの点数はそういうことなのかな、と。
いや、真相がどうなのかは全くわからないけれど
個人的には、この試合でライサがパーフェクト(に見える)な演技を
したにもかかわらず、それほど気持ちが高揚しなかったことが全てですね。
彼の良いパフォーマンスに感動しないなんて・・・!
それまでの自分では考えられなかった。
もしかするとジャッジも同じ気持ちだったのかもしれませんね。
本当はどうなのか知らないけどね!(←しつこい)


で、この試合を経てライサはプログラムと自身の問題点を洗い出し
全米に向けて黙々と改善する日々を送ることになりました。

仮にスケートカナダで演技構成点がそれなりに出ていて
1位は無理でも2位くらいになって
ファイナル進出を決めていたとしたら
プログラムを手直しする時間なんて作れなかったかもしれない。
そう考えると今季はファイナルに出なかったことが
かえって良かったんだと今だからいえるけれど、
ファイナル絶望とわかった当時は・・・・

「空いた時間で、全米やワールドに向けてプログラムと衣装を
手直ししてくれればそれでいいや・・」

と、投げやりに思っていた自分が懐かしいです。
まあ、実際にライサがそうしてくれた上で良い結果を出したので
今となってはこの試合は非常に重要なものに感じます。


どうでもいいけど、この試合の後に自分が胃潰瘍になって
その後のグランプリシリーズは胃痛の中で見ていたことを
思い出しました(苦笑)
自分にとっても辛かった時期だったんだなあと今は思います。


以上、スケートカナダ雑感でした。(長くなった・・・)

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