こんにちは、ひよどりです。
先のローズさんのエントリーにもある、エヴァンさんの全米選手権欠場を伝える11月22日付けのシカゴトリビューンの記事を訳して紹介します。
できることなら出場を伝える記事を紹介したかったのですが、なんともやるせない気分です。
執筆はおなじみのフィリップ・ハーシュ記者です。
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Lysacek won't enter U.S. Championships
But skater insists comeback plans have not changed
Globetrotting by Philip Hersh
ライサチェク、全米選手権に出場せず
復帰プランは変更無しと主張
世界旅行(コラム名)by フィリップ・ハーシュ
Evan Lysacek has decided not to enter January's U.S. Figure Skating Championships.
エヴァン・ライサチェクは1月の全米フィギュアスケート選手権に出場しないと決めた。
Responding late Monday night to a text message in which I noted the entry deadline was Wednesday and asked if he were going to enter, Lysacek said, "Unfortunately, no I'm not."
月曜の夜遅く、エントリー期限が水曜に迫ってることが気になって彼に出場するかどうかを訊ねた私のメールに返信があった。ライサチェクのメールには「残念だけど、僕は出ません」とあった。
The reigning Olympic men's figure skating champion had told me in late October he would skate at nationals if the contractual dispute between him and U.S. Figure Skating could be settled.
現男子フィギュアスケート五輪チャンピオンは10月末に私に言った。もし米国フィギュアスケート連盟との契約問題が解決できれば、全米選手権に出場するつもりだと。
In a telephone conversation Tuesday, Lysacek said he had chosen not to enter because of unresolved issues involving "prior contractual obligations." He declined to elaborate.
火曜日に電話で会話したところ、ライサチェクは不出場を選択したのは「先行する契約の義務」に関わる未解決の問題のためだと言った。彼は詳しい説明は丁重に拒否した。
U.S. Figure Skating communications director Barb Reichert said in a Tuesday email the federation would not confirm or deny any report until USFS receives official word from Lysacek.
米国フィギュアスケート連盟の広報担当者バーブ・ライヘルトは火曜日のEメールで、連盟は公式にライサチェクから知らせを受けるまで、どんな記事も肯定も否定もしないと言った。
Lysacek, whose last competition was the 2010 Olympics, had announced in late September he intended to make a comeback for the 2014 Olympics and told me that he hoped to compete this season.
ライサチェクが最後に競技に出たのは2010年のオリンピックである。彼は9月末に2014年のオリンピックに向けて競技復帰を宣言し、そして私に、今シーズンの競技に出たいと語った。
The two-time Olympian insisted Tuesday he still plans to take a shot at making the 2014 U.S. Olympic team. He reiterated his feeling, expressed last month, that "I am in the best shape of my life." Lysacek said he had been watching Grand Prix competitions to get a sense of what judges were rewarding and how that might affect his future competitive programs.
この二度のオリンピック出場者は、火曜日に、彼はまだ2014年の米国五輪チームに参加しようと計画していると主張した。彼は先月説明したように自分の気持を繰り返した。「僕は人生で一番体調がいい。」 ライサチェクは、審判が何を評価して、彼の将来の競技プログラムにどんな影響を与えるかを掴むためにグランプリシリーズをずっと見ていたと言う。
"I'm definitely still looking at Sochi as the goal, and I will continue to train as much as possible," he said. "My life has changed a great deal since I trained for the last Olympics, with a lot more obligations that lead me to prioritize and pick and choose what I do. But I am glad I started this whole process of training and preparing now instead of a year from now."
「僕は間違いなくまだソチをゴールとして見ている。そしてできる限りのトレーニングを続ける」と彼は言った。「僕の人生は前回のオリンピックに向けてトレーニングしていた頃から、大きく変わってしまった。ずっとたくさんの義務があるので、やることの優先順位を決めて取り上げて選択しなきゃならない。だけど僕はこの完全なトレーニング工程と準備を、一年後じゃなくて今からスタートできることが嬉しいよ」
Two weeks after Lysacek had made the comeback idea public, USFS announced he had withdrawn from the Grand Prix series. Lysacek said he withdrew because he could not reach an agreement on issues the federation said involved money.
ライサチェクが公式に競技復帰を明らかにした2週間後、米国スケート連盟は彼がグランプリシリーズを欠場すると発表した。ライサチェクは欠場の理由を契約が合意に達しなかったためと言い、連盟はその問題は金銭問題を含むと言った。
"Evan wasn't satisfied with our athlete contract,'' Reichert said at that time.
「エヴァンは我々の選手契約に満足しませんでした」とライヘルトはその時言った。
All figure skaters competing under the aegis of the USFS are asked to sign contracts -- known as athlerte agreements -- each year. The agreements recently have become basically boilerplate as USFS no longer could pay what essentially were appearance fees to athletes because of its diminished financial resources.
米国スケート連盟の庇護下で競技に出る全てのフィギュアスケーターは、毎年、選手の同意書として知られている契約にサインするよう求められる。その同意書は近年では基本的に定型文になってしまった。スケート連盟が財源の減少のために、もはや選手に実質的に出演料を支払えないためである。
Sources have indicated the differences between Lysacek and the federation involved matters other than an appearance fee.
消息筋は、ライサチェクと連盟間の不一致は出演料とは別の問題に関わっていると示唆した。
Lysacek spent Monday night in the audience for the penultimate episode of this edition of Dancing With The Stars. He finished second in the spring, 2010 DWTS edition.
ライサチェクは月曜日の夜を、今シーズン最終回の一回前のダンシング・ウィズ・ザ・スターズの観客として過ごした。彼は2010年春のシーズンのDWTSで2位だった。
I asked Lysacek if he had considered joining Stars on Ice again when it became clear negotiations with USFS were going nowhere. He replied that Stars, run by his former agents, International Management Group, had no longer been an option once he planned to compete this season.
私はライサチェクに、連盟との交渉の行き詰まりが明らかになった時、もう一度スターズ・オン・アイスに参加することを考えたかどうかと訊ねた。スターズは彼の前エージェントであるIMGが運営していたが、彼は、今シーズンは競技をすると一旦計画したので、もはやその選択はないと答えた。
Stars on Ice producer Byron Allen said the same thing in a Tuesday email response to the question of whether Lysacek would have been invited to skate the tour after he had switched agents from IMG to Creative Artists Agency last summer.
スターズ・オン・アイスのプロデューサー、バイロン・アレンは、火曜日にEメールで、ライサチェクがこの夏IMGからCAAに移籍した後ツアーに招待されたかという質問に答えて、同じことを言った。
"We never got to the point of making him an offer; he made it clear to us that competing was his priority this year," Allen wrote. "His skating both in the show and in practice (last season) was so consistent that he definitely could compete with anyone."
「我々は彼にはっきりオファーを出すことは全くありませんでした。彼は今年は競技を優先すると断言したのです。」とアレンは記した。「彼のスケーティングはショーでも練習でも(昨シーズン)、とても安定していたので、間違いなく誰とでも競い合えるでしょう」
Consistency has been Lysacek's hallmark in his competitive career. He won 12 medals in his final 12 appearances on the Grand Prix circuit; finished no worse than fifth while winning two titles (Olympic and world) and seven medals in two Olympics, four World Championships and three World Junior Championships from 2001 through 2010; and had two firsts, two seconds and two thirds in six U.S. Championships from 2005 through 2010.
安定感はライサチェクの競技キャリアの中でずっと折り紙付きだった。彼は最後の出場から数えて12回のグランプリ出場で12個のメダルを獲得している。2001年から2010年にかけて、五輪に2回、世界選手権に4回、世界ジュニア選手権に3回出場し、最下位は5位で、優勝2回(五輪と世界選手権)を含む7個のメダルを獲得している。そして2005年から2010年の6回の全米選手権では1位が2回、2位が2回、3位が2回。
And lack of consistency has been the hallmark of U.S. men since 2010.
そして安定感の欠如は2010年から、米国男子選手にとっては折り紙付きである。
While there is no way to know how well Lysacek would have skated at nationals, he never has gone into a competition unprepared. So it would be easy to have seen him finishing in the top two to make the U.S. team for the 2012 worlds, and his absence likely hurts U.S. chances of earning back the full complement of spots for the 2013 worlds.
ライサチェクが全米選手権でどのぐらいうまく滑れるか知るすべもないが、彼は準備の出来ていない状態で競技に出たことは一度もなかった。だからトップ2の成績で2012年の世界選手権の米国チームに参加する彼を見るのは、たやすかったかもしれない。そして彼の欠場はおそらく、米国が2013年の世界選手権で、完全な出場枠を取り戻すチャンスに打撃を与えるだろう。
After 10 straight years in which the U.S. men had three spots (achieved by having the top two finishes add up to 13 or fewer), they earned just two for 2012 because the top two men at last spring's worlds finished 9th and 11th.
10年連続で米国男子は3枠を保持していたが(上位2選手の順位を足して13位以内なら3枠を達成できる)、2012年、この春の世界選手権では、上位2選手が9位と11位だったので2枠しか得られなかった。
Other than Jeremy Abbott, who won the Cup of China despite finishing third in both the short and long programs, no U.S. man has a real shot at making the six-skater Grand Prix Final with one competition left -- this week's Cup of Russia.
ジェレミー・アボットは中国杯でショートプログラムとフリーの両方が3位だったにも関わらず優勝したが、彼の他には、残った一試合--今週のロシア杯--でグランプリファイナル進出の6選手に入れる見込みのある米国男子は誰もいない。
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アボット選手はつい先程ロシア杯3位でGPF出場決定ですね。おめでとう!
訳していてよくわからないところがありました。
欠場理由に出てくる"prior contractual obligations."って結局なんなんでしょう……
icenetworkの記事
によると、CAAから来たメールにも
"Evan will not be at the 2012 U.S. Figure Skating Championships due to prior contractual obligations."
「エヴァンは先行の契約義務のために2012全米フィギュア選手権を欠場します」
とあるので、これが公式理由のようです。
エヴァンさんがハーシュ記者に話した内容では、「それに関わる問題が未解決のため」とあるので、必ずしも全米選手権とブッキングした仕事というわけでもないのでしょうが、よくわからない話ですね。
9月のインタビューでは、ぜひ全米に出たいと言っていたのになぜこんなことになったのか、残念でなりません。
エヴァンさんの言葉から伺えるのは、金メダリストとなったことで色々なしがらみがあるということでしょうか。
おそらく彼にもこの事態に対して、さまざまな葛藤があると思います。
彼のソチを目指してトレーニングを続けるという言葉を信じて、来季以降の競技復帰を待つしかないのでしょうね。
3 件のコメント:
ひよどり様、翻訳UPを有難うございます。
そしてローズ様、超多忙そうですが、お元気でいらっしゃいますか?、AFLの場をこうやって開放して下さってる事に感謝いたします。
「ゆるレス専科」のMistyですが、最近のコメントはどうしても固くなってしまいます。
ひよどり様、私も「先約の義務」を考えさせられました。ライサチェクがUSFSAの契約書にサインしないのは、選手契約条件(金額)が納得できないというのは表向きの理由で、本当はこの「先約の義務」が未解決ゆえ、試合復帰以前の問題として、今季の彼の出場を難しくしてるのかな?と思います。
ライサチェク側からの真相の発表はなされないと思いますし、我々はこの事態を推測でしか語れないのが歯がゆいです。あくまで私の推測ですが、IMGとの間で2011~2012年にかけてのいくつかの契約(アイスショー出演など)がすでになされてしまってるのでは?と思っています。8月の突然のエージェント変更、その後のスムーズに進行しなかったCAAとの引継ぎなどから判断しました。あくまで私の個人的意見ですが、ライサチェクとの間でトラブルがあるのは、USFSAでもなく、CAAでもなく、元エージェントのIMGなのでは?と思うのです。CAAはIMG間との調停を必死で交渉し続けてるのではないかと思います。
「先約の義務の数々」はいつ頃まで続いてるんでしょうかね?。ハーシュ氏の記事中の「トレーニングが1年後ではなくて今出来る事が嬉しい」の部分がそのヒントなんでしょうか?、としたら、1年後には晴れて自由の身として、選手生活に戻れるのかもしれません。
私の見解はおそらく少数派見解だと思います。世間大部分の見解はCAAの仕切りが悪いとか、USFSAが出演料をけちってるとか、ライサチェク側が高額要求をしてるというものなので。(中には、ライサチェクは準備不足で復帰できる状況になく、USFSAに救われてるなんて見解もあるようです・・)
真実は誰にも解りませんね、ライサチェク以外には。
いずれにせよ、ライサチェクが試合復帰を自ら発表しておきながら、試合よりも「先約の義務問題の解決」に振り回されて結局は試合を棄権する結果になってる現状は、USFSAには少なからず悪い印象を与えてしまう訳で・・・
体調不良以外によるGPS棄権により、ISU側に違約金も支払わねばならないとの記事も読みました(←これは事実なのかどうかがよく解りません)ISUへ悪い印象を与えてしまってる事も辛いですね・・
8月位から徐々に表面化していたこの事態、ファンとしては何か彼を勇気づける事はできないのか?とずっと考えました。FOIで急きょバナーを新調したり、SKAMでmiss him アピールしたり、アメリカのファン達とメッセージを送ったりなど色々やってみましたが、ファンとして出来た事なんて本当に僅かです。私達の声が彼にどこまで届いてるかも解りません。けれど、英語力もない私ですが、'励まし'を彼に送れないだろうか?、私のへぼいメッセージは読み流されても構わない、でももしも彼に100通の応援メッセージがTwetterに書かれてたら、彼の心は勇気づけられるんじゃないか?・・ただその希望(ファンの自己満足かもですが)を信じて、恥をこらえつつメッセージを送信し続けてます。皆様も是非メッセージ送ってあげて下さいませ。少なくとも私がいつも送信してるショボイ英文よりはライサチェクの心に響くはずです。
今の彼に期待(というより祈りに近いですが)するのは、この非常に辛い局面を、メンタル的にも強く乗り越えて欲しいという事です。ここでこのまま沈んでしまう訳にはいかないでしょうし、そうある事を望みます。
Misty様
色々と興味深い話をありがとうございました。
私もIMGからCAAへの移籍は、あまり円満とは行かなかったのかな…と薄々と思っていました。
そのへんの事情に関しては、おそらく、リークでもない限りわからないのかもしれませんが。
とにかく7~8月頃のエヴァンさんは、Twitterからもトレーニングに戻れた喜びが生き生きと感じられたので移籍はいいことだったのだろうと思っていたのですが、こうなって見ると何が良くて何が悪いか、もはやわかりませんね。
ただ、今回のこともなんとかバネにして、今後のことに生かして欲しいと思うばかりです。
Misty様の、積極的にエヴァンさんを勇気づけたいという思いには、私も勇気づけられました。きっとその思いは彼にも届いてることと思いますよ。
なかなか積極的な発信はできない私ですが、ぼんやりと思ってることは、公式サイトのフォームからメッセージを送ってみようかなということです。
contactにあるフォームは、「サインが欲しい人はこのフォームを使わないでトヨタスポーツセンター宛てに送ってください」とか「仕緊急に返事が必要なメールはフォームで送らないでください」など注意書きがたくさんありますが、ファンメールを送って悪いというものではなさそうなので。
そしてどういうシステムになってるかはわかりませんが、エージェントにもメッセージが送られるシステムだとすれば、エージェントに対するアクションにもなるかな、なんて考えています。
自分にできることを少しでもやってみなくちゃいけませんね。
色々気付かせてくださってありがとうございます。
ひよどりさま
翻訳ありがとうございます。
FSUなどでもスポンサー契約がらみではないかなど、いろいろな話が出ていますが,すべて憶測にすぎず、本当のところは未だに当事者しか知りえないという状態のようです。私としては、試合に戻ったときに、彼一人に期待や重圧がかかるような状況ではないほうがよいと思うので、アボット選手が頑張ってくれているのは心強いです。
Mistyさま
またしても、何と申し上げてよいか言葉が見つかりません。
それでも、ポジティブに応援されている姿勢に、私も勇気づけられます。メッセージに関しては、本人が負担に感じないように、などと考えてしまいますが、時節柄、クリスマスや新年にちなんだ季節のあいさつのような形でメッセージを送るのもよいかもしれませんね。
ところで、本日テレビ番組のGood Day LAに出演したことはご存知の方もいらっしゃると思いますが、幸い今朝ビデオを見ることができました。The Climbの衣装のような黒の上下の服装で、前髪を立てた髪型に無精ひげといった感じで、本人比で割と若々しく見えました。あまり英語はよく聞き取れないのですが、内容的にはLA Liveのイベントの宣伝が主な目的のようで、試合出場取り止めについては特に話は出なかったと思います。聞き取れた内容は、オリンピックの後SOIなどで世界5カ国でショーをしたが、今はトレーニングに戻っている。DWTSについて聞かれたときは、当時のメンバーが懐かしい、というようなことを話していたと思います。全体で5分ほどの出演でした。
明日のツリー点灯イベントのほかにも、今月何回か公の場所で滑る機会がありますので、ビデオが出てくればよいですね。
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