(注:この記事は2009年4月9日に書いています)
全米選手権のライサチェック雑感。
<SP:ボレロ>
生放送で6分間練習前から見られた試合だっただけに
見ていた方も非常に緊張しました。
何より第一滑走だったし、後に続く選手も強力なラインナップで
文字通り手に汗を握って観戦したのを覚えています。
で、タラソワ版ボレロをローリーに手直ししてもらった
修正版ボレロの最初のお披露目となったこのSP、
出だしの動きから最後のポーズまで、色々な箇所が変わっています。
タラソワ版は終始動きっぱなし、且つライサらしからぬ
柔らかな手の使い方が特徴的だったのが、
ローリーに手直しされたことでプログラムそのものがシンプルに、
リズムに合わせるより、リズムに乗ることを重視した
振り付けとなってますね。
タラソワ版の方が派手でゴージャスだったといえばそうなんですが
ローリー版はジャンプのタイミングや中盤のサーキュラー、
後半のストレートラインへの盛り上がりが計算されている感じで
プログラムとしてのまとまりが良くなったのかなと思います。
演技の出来そのものは、とにかく緊張している様子が伝わってきて
その中でやれるだけのことはやった!という印象。
最初のトリプルアクセルが「ピサの斜塔」(=斜めに着氷)に
なったときは、「今のダブルじゃなかった?」と一瞬疑ってしまった。
ジャンプは高さはまあまあだったけれど、
着氷がいつもより流れてないところを見ると
そのへんも緊張が出てしまったのかなあと感じる。
それでも第一滑走で、目だったミスはなく、
レベルの取りこぼしもなく、丁寧な試合をした。
08年全米のときはものすごくナーバスになってしまって
SPからジャンプが乱れがちになっていたのを考えると
落ち着いて出来た方なんじゃないでしょうか。
<フリー:ラプソディー・イン・ブルー>
こちらも修正版の初お披露目。衣装もリニューアル(笑)。
この試合、もしかすると自分の中で一番楽しみだったのが
新しい衣装だったかもしれない・・・(苦笑)
当時も書きましたが、胸元のバラに嬉しくなってしまって
その点ではハッピーな気持ちになりました。
それにしても、今動画を見返しても、良い演技をした
ムロズ君、ライアンの後に滑るというのは
ディフェンディングチャンプとして非常にプレッシャーを
感じたに違いないと思う。
演技は見てないとしても、観客の反応でどことなく
空気は伝わっていただろうし・・・
その中で自分の意思でもってクワドにチャレンジしたこと、
その後少しペースを乱しても、出来るだけのことは
しっかりやったこと、この二点で彼がチャンプの座を
「守り」に行ったのではなく「獲り」に行った姿勢に
改めて敬意を表したいです。
演技そのものの内容は、クワド失敗により
その後のトリプルアクセルなどで着氷にミスが出て
結果的に今季のフリーの中で最もミスが出た試合に
なってしまいました。
それでもクリーンにやったスケートカナダよりも
ずっと胸にこみ上げるパフォーマンスだった。
彼の「気持ち」がすごく出ていたというか。
プログラムを修正して、より自分のモノとして
進化させたことも大きいでしょう。
当時は修正版のフリーを見ても「どう変わったかあまり指摘できない」と
思ったのですが、これもSP同様、かなり色々なところが変わっています。
出だしの振り付けから、つなぎの部分や音楽の合わせ方が特に。
タラソワ版はより「粋」で「洒落た」方向を目指して
それが従来のライサ的な暑苦しい表現とごっちゃになって
なんだかヘンなことになっていた印象があったんですが
ローリーによる修正版は、どちらかというとシンプルで、
勢いや迫力を抑えることで、「洗練さ」を重視したような感じ。
ライサのパフォーマンスの従来の「男っぽさ」や「情熱的」な
表現は封印し、より「都会的」で「紳士的」なものへと
シフトチェンジしたように思います。
当時、その違いを指摘できなかったのは見てる側も緊張してたのと、
ぶっちゃけ、あまりタラソワ版のプログラムを見てなかったから
(というか、見てられなかった)でしょう(苦笑)。
とにかく、衣装共々リニューアルされて
「これからこのプログラムはどうなるのだろう」と
新たに期待を感じさせるものとなって一安心しました。
でも、「この曲編集は変えた方がいい」とまだ思ってたわけですが(笑)
結果的にこの全米は3位に終わり(フリーだけなら4位・・)
ライサはギリギリでワールドの切符をもぎとったことになりました。
今季好調だったアボット君に抜かれるのはありうるかもとは
思っていたけれど、ムロズ君にまで抜かれるとは考えてなかった。
そしてジョニーがワールドのメンバーに選出されないなんて
全く予想していなかった。
というわけで、試合が終わった直後は結構凹みました。
それだけこの試合が彼にとって大事だとわかっていたし
本人も全米王者の称号を失ったのはショックだったろうなと
すごく感じていたので・・・。
でも、当時このブログに
「何かを得るためには、何かを手放さなきゃいけない」と
よく言いますが、ライサの場合は
今後、何かの大きなタイトルを獲るために
全米チャンプの称号を捨てて
クワドにチャレンジする必要があったってことで
いいんじゃないでしょうか。
別に全米チャンプの称号にしがみつく必要は、彼にはもうない。
今季は一つもタイトルを獲得してないけど
ゼロになった状態で挑む四大陸とワールドこそ
本当の勝負ですよね。うん、そうだ。←自分に言い聞かせている。
と書き残していたのにはちょっとビックリ。
何気にその後の展開の希望をさらりと書いてますが
まさか二ヵ月後に実現するとはこのときは思いもしなかった。
予言とまではいかなくとも、私、わりと冷静で前向きに
現実に向き合っていたんだなー、と・・・(笑)。
でもそれはライサ本人が前向きだったからに他ならないですけどね!
だって本人が前を向いてるのに、
ファンが後ろ向きじゃ何にもならないもの!
・・・結局、応援している相手に助けられてばかりで
なんだか自分が不甲斐なくも感じますが。
余談ですが、この試合はよほど印象に残ったのか、
今シーズンのどの試合よりも自分の感想の記述が多くて
それだけ重要視していたんだなということがわかります。
久々の試合だったというのもあるんでしょうか。
何より、新しいプログラムと衣装にずっとガッカリしていたのが
この試合である程度救われたのも大きい。
「胸にこみ上げる演技」が見られたことも一因でしょうか。
ああ、来年の全米はどうなることやら!
おそらく最後の全米になると思うので
できたら現地観戦したいんですがね・・・資金がたまるかなあ(苦笑)
以上、全米選手権感想でした。
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