Numberの田村明子さんによるコラムにより
バンクーバーオリンピック直前に起こった
米国人ジャッジによるロビー活動が明かされています。
これにより、騒動のきっかけとなったインマン氏と
その親友で、ライサチェックの振付師であるローリ・ニコルが
疑惑の人になっているという状況のようです。
ただ、問題となったメールを受け取った人が
あの試合の審判に含まれていたのかどうかもわからないので
実際の試合に影響があったかどうかは、
これだけでは特に断定できないでしょう。
一方、文中で田村さんが指摘している通り、
ライサチェック自身がやましいことをしたわけではないけれど
プルシェンコにとってバンクーバーオリンピックは
北米のスケート関係者から全く歓迎されなかった試合であることは
どことなく伝わってきます。
そして田村さん自身もプルシェンコが勝利すべきだったと、
連覇は可能だったはずだと考えているのでしょう。
まあ、それはそれ。個人の意見ですし、
北米のジャーナリストやスケート関係者の事情を
何も知らない善良なファンが非難できることではない。
だけどライサチェックの関係者に、
そういう疑惑がある人が出たこと自体に関しては、
ファンの私にとって歓迎できない事態ではあります。
もっともローリーはパトリックのコーチでもあるので
ひょっとしたら彼女が勝たせたかったのはパトリックであって
ライサチェックはもう一つの駒、彼女にとって保険のような駒に
過ぎなかったのかもしれないけど、彼女が選手をそんなふうに
見る人とはあまり思えない、少なくともライサチェックの
彼女に対する言葉を思えば・・・彼女は選手に対して
親身になって振り付けを作る人のように見えるのですが。
ま、それと戦略はまた別なのかもしれないけれど
ライサチェックとフランク・キャロルがローリーに対して
厚い信頼関係があるのは紛れも無い事実です。
だからローリーに対する、こういう書かれ方は
正直言って気分の良いものではないですね。
まるで彼女が親友のジャッジに言って
騒ぎを引き起こしたかのような印象を与えるから。
仮にそれが事実であったとしても
審査に影響を与えたかどうかまで判断できない以上は
疑いが疑いとして大きくなるだけ。結果は覆らないし
北米のロシア嫌いも、韓国の日本嫌いのように
そう簡単に解決していく問題ではないでしょう。
フィギュアスケートに限らず、スポーツの世界に
国と国との関係や政治的な問題が介入することは
残念だけど、そう簡単にはなくならない。
アウェーの状況でもどうしても勝ちたいのであれば、
圧倒的な能力と戦術を持たなくてはいけないということは
どのスポーツのファンであっても知っていると思うのですが。
ライサチェックは彼の発揮できる能力を
あの大舞台で発揮して、最もそれが評価された。
彼がしたことはそれだけだっていうのに、
こんなにも舞台裏がどうの、採点がどうのと言われ、
私は彼が競技に戻ってくることはもう不可能なのではないかと
危惧しています。あるいは、北米のメディアやスケート関係者たちは
それを望んでいるのかもしれない。
勝ったまま、彼を選手として終わらせたいのかもしれない。
たとえそれが彼の望むことでないとしても、
賢い彼は、どういう去り方が最も良いのかを考慮した上で
自分の胸に問いかけることでしょう。
「俺はこの競技に対して何ができる? どんな可能性がある?
どんなふうに去っていけば、この競技のためになる?」と。
そのときの決断が、彼が心から望むものであることを
ただ願ってやみません。
私は、彼は選手としてきれいな形で終わらなくてもいいと思う。
いつか選手としてトップグループにいることが難しくなって
「金メダリストが落ちぶれて」って言われるようなことになっても
その先に彼の望むものがあるのであれば、それでいいのだと思う。
ただ彼から大好きなスケートを、競技を、こういった雑音によって
奪ってしまわないで欲しい。
周囲の雑音によって、彼がスケートへの愛情を失わないことを、
ファンはただ祈るしかありません。
田村さんは上記のような疑惑の記事を堂々と披露して、
他の雑誌のインタビューなどでは一体どんな言葉で
彼にインタビューしたのでしょうね?
次号のワールドフィギュアスケートが見物ですな。
4 件のコメント:
わたしも、ちょっと前にこの記事を読みました。そして心底ゲンナリしました。
田村さんは、トリノの後、発売された、『氷上の光と影』の中で、ソルトレイク時の北米メディアやジャッジの行動&発言について、手厳しく批判していたので、今回もその延長線上にある記事だと思うのですが…それにしたって、この書き方は、ないんじゃないかと思います。「米国人ジャッジによるロビー活動」については、他の記者が書いた記事でも読みましたし、そういうメールが送られたことは事実なのでしょうが、こういうふうに書かれてしまうと、「ライサチェックは、米国ジャッジのズルで優勝した」みたいじゃないですか(怒)。
もちろん、そのジャッジがやったことは、けして誉められたことではなく、だからこそ、プルさんとロシア側が、ギャーギャー騒いでいるわけですが、ローズさんがおっしゃっているように、スポーツの世界に国と国との関係や政治的な問題が介入することは、残念ながら、よくあることなんですよね。
エヴァンさんは、オリンピックで、自分にできうる最高の演技をしただけなのに、こんなバカげた騒動に巻き込まれてしまって、本当に気の毒でなりません。
彼が競技を続けたいのなら、他人の思惑など意に介さず、とことん納得いくまでやれるよう、心から願っています。
マイキーさま:
何ていうか、これまで彼のことを好意的に日本に紹介してくれた人がこの記事を書いたということが一番悲しいですね。彼女から見てオリンピックの採点が公平でなかったことは明らか、と主張したいのは確かなのでしょうしね。しかしマイキーさまのご指摘の通り、「ライサチェックは米国のズルで優勝した」と言っているのと同じだと思います。いえ、そう主張したいなら別にどうぞ、とは思うのですが、ライターとして、それもライサチェックにおそらくは好意的なインタビューしたであろう彼女がやっていいこととは思えませんね。彼をおだてて、良いコメントをもらった上で、ああいうことを疑惑ありきで書くのは理解に苦しみます。それがジャーナリストとしての彼女の手法ならば仕方が無いですが、その彼女が報道の公平性を訴えても、何の説得力もないですね・・・。
それに、政治的な問題はなくならないでしょうしね・・・。まして、国の威信がかかるワールドカップだとかオリンピックという場では尚更でしょう。しかし選手自身には何の落ち度もないわけですしね(四回転をやらないことが落ち度だと思う人はいるかもしれませんが、私はそういう意見には同意しません)、そういう外野の声には耳を塞ぐしかないでしょうね。
しかしエヴァンさん、本当に難しい立場になっちゃったな~という感じです。ただ、それでも競技に戻る気はあるようなので、そこは良かったなと思っています。今度試合に出るときは、どんなふうになっているかが今は本当に楽しみです♪
>これまで彼のことを好意的に日本に紹介してくれた人がこの記事を書いたということが一番悲しいですね。
そうなんですよね…。田村さんがバンクーバー前に出版した本を読んで、彼女がエヴァンさんに温かい目線を送ってくれていたのを知っていただけにショックでした。彼女は他に「大輔くん、銅メダルおめでとう!」的記事を書いていますが、そこでもエヴァンさんの優勝をあまり歓迎していない印象だったので、どうしてだろうと疑問を抱いていたのですが、この記事は読んで、事情がわかり、尚更悲しい気持ちになりました。
ロビー活動した人たちに対しても、どうしてそういう余計なことするんだと、非常に腹立たしいですが、大変遺憾ながら、こういうことってなくならないんですよね(ため息)。
エヴァンさんは、とても聡明な人なので、賢く対処してますが、こんな事態が平気なわけありませんよね。近々ダンスの番組に参加するそうですが、そこで気分転換できるといいなぁと思います。
マイキーさま:
彼女が最初に出した記事は大輔くんを称える内容で、まあそれは日本人だし、ああいう書き方になっても仕方がないのかなあと思ったのですが、このロビー活動についての記事を見て「ああ、そういうことなのね」とすごく納得しましたね(苦笑)。と同時に、「じゃあ今までのエヴァンに対する好意的な記事は何だったのよ!優勝した途端気に食わなくなったっていうわけ!?」とも言いたくなります・・・が、選手自身への批評と採点は、また別ですからね、彼女もそのあたりを自分なりに切り離して考えてああいう記事を出したのでしょう。いえ、全然切り離してないじゃないかと言いたいですけども・・・、そのへんはお互い人間ですしね、やりきれないものってありますからね。
だけどこのロビー活動がなかったとしても、やっぱり優勝についてはどこかでケチがついただろうなと思うところがあります。接戦でしたしね。これがオリンピック勝者の宿命なのだと思うしかないのかな、と。ただ、今回の男子シングルオリンピック勝者は相当厳しい立場に立たされているということを、本気で心配しているのはスケートファンや関係者の一体何分の一だろうかと思うと溜息も出ます(苦笑)。自分の贔屓の選手より上回ったというだけで反感を憶える人もいるでしょうし、そのあたりはお互いさまということで私も笑ってスルーしておくのがベストなのでしょうね。
それに、本人もすでに前を向いているわけですし。彼は彼なりに、自分の課題をどんどん見つけてがむしゃらに突き進むことで、こういった騒動を頭の外に追い出しているように見えます。私個人としても、それでいいと思うし、そういう彼の姿勢を応援していきたいです。
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