今日2月15日はサベナ航空548便墜落事故が起こった日です。
1961年、乗客全員が死亡したこの事故でアメリカフィギュアスケート協会は
世界選手権代表チームの全員を失うという悲劇に見舞われました。
そして今年2011年は、事故からちょうど50年の節目を迎えます。
この事故の遺族や関係者達のその後を追い、
今日に至るまでのアメリカフィギュアスケートのドキュメントとして
映画『RISE』が今週2月17日に全米規模で公開されることになっています。
以前から当ブログでもお伝えしている通り、ライサチェックも参加しています。
今日このブログに掲載するのは、先日icenetworkに掲載された
映画『RISE』に関するライサチェックのインタビューの翻訳です。
Lysacek reflects on connection to 1961 U.S. team
Evan Lysacek says he didn't shed many tears winning gold in Vancouver. Watching RISE, the cinematic feature that playing in movie theatres throughout the country on Feb. 17, was a different story.
エヴァン・ライサチェックはバンクーバーで金メダルを獲得したことではあまり涙を流さなかったと言う。だが2月17日に全米規模の映画館で上映される映画作品『RISE』を見るのはまた別の話だったようだ。
The 25-year-old reigning Olympic champion never fully considered his connection to the 1961 U.S. world team before he was invited to take part in RISE, which celebrates American figure skating while honoring the 50th anniversary of the loss of 34 members of the U.S. figure skating community in the crash of Sabena Flight 548 en route to the World Figure Skating Championships in Prague.
25歳の現オリンピックチャンピオンは、『RISE』の参加に招待されるまでは1961年の全米代表チームと自分とのつながりをじっくり考えたことは一度もなかった。『RISE』はプラハ世界選手権へ向う途中で起こったサベナ航空548便墜落事故でアメリカスケート連盟の34人の損失の50回忌に敬意を払いつつ、アメリカのフィギュアスケートを祝賀する映画だ。
"Even in our own sport there's not a lot of education on what happened, how [the crash] wiped our sport out, how U.S. skating had to be completely re-built from the ground up," he said.
「この競技においてさえも、何が起こったのか、(あの事故が)どれだけ僕らの競技を打ちのめしたか、どのようにしてアメリカのスケートはゼロから完全に再建しなくてはならなかったのか、という教育はあまりされていないのです」と彼は語っている。
Participation helped Lysacek realize how close to home the story comes, on two counts: his coach, Frank Carroll, trained under nine-time U.S. ladies champion Maribel Vinson Owen, who perished on the flight along with her two daughters -- also U.S. champions; and he is a recipient of grants from the U.S. Figure Skating Memorial Fund, established in 1961 as a living memorial to those lost. The Fund distributes $300,000 annually to developing figure skaters.
この映画への参加によって、ライサチェックは2つの点でどれだけこのストーリーが自分に身近であるかを実感させられたのである。彼のコーチ、フランク・キャロルは9回全米女子シングルチャンピオンとなったマリベル・ヴィンソン・オーウェンの下で練習していた。彼女は二人の娘とともに事故にあった航空便で亡くなっている。また、全米チャンピオンという点では、ライサチェックは全米フィギュアスケート協会メモリアル基金の補助金の受給者の一人でもあったのだ。これは彼らの損失を追悼した資産として1961年に設立された基金である。この基金では年に一度、フィギュアスケーター達を育成するために30万ドルを分配している。
"I said 'yes' to the film without understanding why I was important to the overall storyline," he said. "I wanted to do the project for my coach.
「どうして自分がこのストーリー展開全体において重要なのかをよく理解しないまま、この映画への出演に『イエス』と言ったんです」とライサチェック。「僕はコーチのためにこのプロジェクトをやりたいと思ったんですよ」
"After seeing the film, and seeing how it ties together and how the story comes full circle -- how much support I've had from the Fund and others have had from it -- finally it made sense to me."
「この映画を見て、それがどうつながっているのか、どのようにこのストーリーが一巡しているか、そして僕や他のスケーターが受けた援助がどれほどのものかを見た後・・・最終的に、やっと理解できたんです」
A few weeks after winning gold in Vancouver, Lysacek was filming in New York. That's when it really hit home.
バンクーバーで金メダルを獲得してからわずか2,3週間後に、ライサチェックはニューヨークで撮影を行っていた。精神的にとても打撃を受けたのはそのときのことだ。
"We had a few very long days filming in a dark skating rink, with one spotlight; they asked me to do a couple of tricks and jumps," he said. "I remembered the Olympics and Frank . . . [my gold medal] was something he had been working for before I was even born. That was huge. In that moment I had a little bit of perspective about being a part of RISE."
「暗いスケートリンクの中で、長い長い撮影が2,3日ありました。照明が一つしかない中で、いくつか技やジャンプをするよう要求されたんです」と彼は言う。「僕はオリンピックとフランクコーチのことを思い出していました。・・・僕の金メダルは、僕が生まれる前からの彼の取り組みによるものだということを。それがとても大きかったですね。『RISE』に参加することの全体像が少し見えたのはそのときでした」
The tears flowed when he viewed a DVD of the finished film months later.
彼は数ヵ月後に撮影が終了した映画のDVDを見たとき、涙が流れたという。
"As I watched the movie and realized that through my work with Frank, he had assumed his role as Maribel Vinson, coach and trainer, and I in turn had assumed the role of Frank as her pupil ... that really touched me. I got really emotional watching it."
「この映画を見終えたとき、僕とフランクコーチの仕事を通して、彼はコーチでありトレーナーだったマリベル・ヴィンソンとして自分の役割を行っていたのだと実感したんです。それと同様に、彼女の弟子としてのフランクの役割を僕が担っていのだということを。それに心から胸を打たれたのです。これを見てとても感情的になっていました」
At the 2011 AT&T U.S. Figure Skating Championships in Greensboro last month, Lysacek -- along with the newly crowned U.S. champions and young local skaters -- filmed a RISE tribute program, choreographed by Randy Gardner. It will be shown at the event next week; the music, composed by Peter Calandra and featuring vocals by Joy Askew and Frank Carillo, is available for free download on Soundcloud.
先月、グリーンスボロで行われた2011年のAT&T全米フィギュアスケート選手権で、ライサチェックは新たな全米チャンピオン達や地元の若いスケーター達と一緒に、ランディ・ガードナーが振り付けした『RISE』のトリビュートプログラムを撮影した。これは来週のイベントで上映されることとなっている。また音楽はピーター・カランドラが作曲し、ボーカルにジョイ・アスキューとフランク・キャリッロが起用されている。この曲はサウンドクラウドにて無料でダウンロードが可能だ。
More details about RISE, including a list of participating theaters, can be found on the web site. Tickets for the Feb. 17 event are available at participating theater box offices and online at Fathom Events. Proceeds from
RISE will be used to further the mission of U.S. Figure Skating's Memorial Fund.
上映に参加する映画館の一覧を含む『RISE』についてのさらなる詳細はウェブサイトにて参照することができる。2月17日のイベントのチケットは各参加映画館のチケット売り場もしくはFathom Evantsのオンラインページで入手可能だ。また『RISE』の収益は全米フィギュアスケート協会メモリアル基金のさらなる活動に利用されることになっている。
"All of those exceptionally talented, gifted, promising, good-looking skaters -- the loss of their dream opened the door up to so many other dreams, mine included, through the Memorial Fund," Lysacek said.
「とりわけ優秀で、才能があり、将来を約束された、魅力的なスケーター達全員・・・彼らの夢の損失が、あのメモリアル基金を通して、僕を含む多くの選手達の夢を拓いてくれたのです」
2 件のコメント:
翻訳ありがとうございます。
最近のエヴァンさんのインタビューの中でもっとも感銘を受けました。
彼は時々とても心に沁みることを言いますね。
キャロルコーチのこと、彼が教わったコーチのこと、自分が生まれるずっと前から脈々と伝えられて来たもののこと、それを暗いリンクの中で長時間滑る中で理解したというのがとても彼らしい実感のこもった言葉だと思いました。
スケーターにはリンクの上でしかわからない何かというのがきっとあるんでしょうね。
RISEのDVDが出たら私もなんとか入手したいと思っています。
ひよどりさま:
良いインタビューでしたね、この記事。色々訳していると、訳した本人のくせに内容をイマイチ覚えていない、なんてことがよくあるのですが、これに関してはよく覚えています。
自分のコーチを教えていた人が、あの事故の犠牲者だということ、それだけでも胸が痛くなることとはいえ、別の記事にあったようにフランクコーチは自分からこのことを口にしなかったんですものね。だけどこの映画出演がきっかけで様々な気づきがあって、それをこうして話してくれるのは有難いことだと思っています。本当に、彼のオリンピック優勝も映画に華を飾る意義深いことだったんだなと改めて実感している次第です。
ぜひDVDでじっくり味わいたいですね!
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