2010年2月21日日曜日

icenetwork (2010/2/20) - Lysacek waves off criticism from Russian Federation

icenetworkに掲載されていた記事です。
ライサチェックへの批判、賞賛の両方が様々なスケート界の
有名人によって語られています。


Lysacek waves off criticism from Russian Federation


Evan Lysacek hadn't slept a wink.

エヴァン・ライサチェックは一睡もしなかった。

He had officials escorting him from one interview session to another, and he still had no idea what that Olympic gold medal was doing around his neck.

次から次へと公式なインタビューがあり、彼はオリンピックの金メダルが首にかけられていることもまだ実感にないのだという。

But, he was well aware he was in the midst of a controversy.

しかし彼は自身が議論の中心にいるのだと十分承知していた。

Lysacek, who became the first American since 1988 to capture the men's figure skating gold medal in the Olympics, had dethroned defending Olympic champion Evgeni Plushenko.

ライサチェックは1988年以来の金メダルを獲得したアメリカ人選手となり、前チャンピオンであるエフゲニー・プルシェンコから王者の座を奪った。

And since Plushenko had landed a quad and Lysacek hadn't, Russian skating officials in Vancouver were none too pleased.

プルシェンコが四回転を着氷した一方でライサチェックはそうではなかったため、バンクーバーでのロシアのスケート関係者たちは少しも喜ばなかった。

Plushenko said that he thought he had won and even motioned that his spot was on the top of the medal podium. Over in Moscow, even Russian Prime Minister Vladimir Putin chimed in with his displeasure.

プルシェンコは彼自身が勝利し、彼の立つ場所は表彰台のトップだということを示したとさえ話している。モスクワではロシアの首相のウラジミール・プーチンでさえも彼の不満に同意している。

Lysacek, meanwhile, seemed to take it all in stride.

その一方で、ライサチェックはそれらを全て受け流しているように見えた。

After all, he is the Olympic champion.

どのみち、彼はオリンピックチャンピオンなのだ。

"I guess I was a little disappointed that someone who was my role model would take a hit at me in probably one of the most special moments of my life that I'll never forget, regardless of what anyone said there,'' Lysacek said. "For him to discredit the field is not right, it's probably the strongest field there has ever been.''

「僕は自分のロールモデルだった人が、僕の人生において誰が何を言おうと決して忘れることのない最も特別な一場面で、僕へのあてつけで評判を落とそうとしていることに少し気落ちしたようです」とライサチェック。「彼にとって、この試合を傷つけることは真っ当ではありません。おそらく今までの中でもっとも激しい試合だったのですから」

Lysacek added that he could sympathize with Plushenko's emotions, noting that losing is always "a tough pill to swallow.''

ライサチェックは、自分はプルシェンコの気持ちを察することができるとも付け加えた。負けることはいつも『非常に辛いもの』だと言及しつつ。

The victory marked the first time since 1988 that a member of the Russian Federation or Unified Team had not won skating's top prize. Plushenko, who had earned a silver behind compatriot Alexei Yagudin in 2002 and claimed the gold medal in 2006, entered these Olympics as the heavy favorite for gold. Even though he had taken three-and-a-half years off from competitive skating, he returned this season showing he was more than ready to return.

ロシア連邦の一員、あるいはチーム全体がスケートの表彰台のトップにならなかったこの勝利は、実に1988年以来のことだった。プルシェンコは2002年に同国のアレクセイ・ヤグディンに次いで銀メダルを獲得し、2006年に金メダルを得た。また、これらのオリンピックには金メダルの最有力候補として出場していたのだ。彼は三年半もの間競技のスケートから遠ざかっていたにも関わらず、今シーズンに単に戻ってくる準備が出来ているだけではないと示しながら、再び現れた。

Plushenko won the short program but his free skate, even with a quad, wasn't sharp. He struggled with his spins and did more hip grinding and blowing kisses than actual transitions and footwork.

プルシェンコはショートプログラムでは勝ったが、フリースケーティングでは四回転があったとはいえ、切れ味がなかった。彼はスピンで苦戦し、実際のつなぎやステップよりも腰を振って投げキッスを多くやってのけた。

Lysacek, who skated conservatively but landed eight triples, wound up defeating Plushenko by 1.31 points. Lysacek said that Plushenko congratulated him and gave him a "good, strong handshake,'' and praised Plushenko for his three Olympic medals. He also noted that they have competed against each other for years and toured together and that he has always respected him.

ライサチェックは控えめに滑ったが、8つのトリプルジャンプを着氷し、最終的にプルシェンコを1.31点で上回った。ライサチェックはプルシェンコが彼を祝福し、『しっかりした良い握手』を交わして、彼自身もプルシェンコの3つ目のオリンピックのメダルを称えたと語っている。彼は、自分達はお互いに何年も競い合い、共に遠征していて、いつもプルシェンコを尊敬していたとも付け加えた。

Although Plushenko might not have shown any animosity toward Lysacek personally, he and his longtime coach, Alexei Mishin, made it abundantly clear to the media that they were not pleased with the outcome.

プルシェンコはライサチェックに大して個人的な敵意を示さなかったかもしれないが、彼と彼のコーチであるアレクセイ・ミーシンは自分達がこの結果に対して喜んでいないということをメディアに強く示した。

"Any judge who thinks this is the right champion is a Cyclops," Mishin told reporters. "Without the quad, there is no difference between the men's competition and the women's. Why not let them skate together? Why not have it as a unisex competition in the Olympics?"

「ジャッジは皆、正当なチャンピオンがあのサイクロプス(訳注:ギリシャ神話に出てくる巨人)だと考えているようですね」とミーシンは記者に言った。「四回転がなければ、男子の試合と女子の試合に差はありませんよ。それなら、どうして共に滑らせようとしないのでしょう? なぜオリンピックで男女共同の試合を行わないのでしょうね?」

Although reaction from the Russians has been fierce, reaction from America's top skaters has been supportive.

ロシア人たちの反応は凄まじいが、アメリカのトップスケーター達からの反応は協力的であった。

Brian Boitano, who had been the last U.S. man to win the Olympic gold medal until Lysacek came along Thursday night, was in the stands in the Pacific Coliseum to witness Olympic history. Both Boitano and Lysacek won their gold medals on Canadian soil, with Boitano winning in Calgary and Lysacek in Vancouver.

ライサチェックが木曜の夜に勝つまで、最後のアメリカ人男子シングルオリンピック金メダリストだったブライアン・ボイタノはオリンピックの歴史的瞬間に立ち会うためにパシフィック・コロシアムの中にいた。ボイタノとライサチェック、彼らの金メダルは両方ともカナダの地で勝ち取ったものだ。ボイタノはカルガリーで優勝し、ライサチェックはバンクーバーで勝利した。

"Evan really deserved it,'' Boitano said. "He was mentally strong, and he was flawless.''

「エヴァンは実に金メダルに相応しいよ」とボイタノは言う。「彼は精神的に強かったし、完璧だった」

Another American champion in the crowd was Michelle Kwan, who has been in Vancouver working with ABC-TV. A longtime friend of Lysacek's, Kwan said his performance moved her to tears.

観客の中にいたもう一人のアメリカ人チャンピオンはミシェル・クワンである。彼女はバンクーバーでABC-TVの仕事をしていた。ライサチェックの長い間の友人であるクワンは、彼の演技に涙したと言う。

"He was the first person I ever saw skating that made me tear up,'' Kwan said.

「今までスケートを見て、私が泣いたのは彼が初めてよ」とクワンは語った。

Kwan also trained with Lysacek's coach, Frank Carroll, and was happy that Lysacek could help Carroll achieve his longtime dream of coaching an Olympic gold medalist. Carroll, who is coaching at his 10th Olympics, had come close to gold before. In 1980, Linda Fratianne settled for silver. Eighteen years later, in Nagano, Kwan also garnered a silver.

クワンはライサチェックのコーチであるフランク・キャロルと練習していたこともあって、ライサチェックがキャロルの『オリンピックの金メダリストを育てる』という長い間の夢を実現させたことがとても嬉しかったのである。キャロルは指導して10回目のオリンピックとなるが、彼は以前に金メダルに近づいたことがある。1980年のリンダ・フラチアニが銀メダルとなった。18年後、長野でクワンも銀メダルを獲得した。

"I'm thrilled beyond words,'' Kwan said. "I texted him. It's great to see a friend so happy.''

「言葉では言い表せないくらい嬉しかったわ」とクワン。「彼にメールしたの。『友人がとても幸せなのを見るのって最高よ』ってね」

Tim Goebel, who is finishing up his studies at Columbia, also trained with Carroll. Under Carroll's guidance, Goebel earned a bronze medal at the 2002 Olympic Winter Games in Salt Lake City.

コロンビアで研究を仕上げつつあるティム・ゲーブルもかつてキャロルと練習していた。キャロルの指導の下で、ゲーブルは2002年のソルトレイクシティ冬季オリンピックで銅メダルを獲得している。

"Frank is a master at preparing his students to skate their best performances when it counts the most,'' Goebel said. "His contributions to the sport are remarkable, and I am very happy for him to have realized his dream of coaching an Olympic gold medalist. It is well deserved.

「フランクは自分の教え子に、最もここぞという時にベストのスケートを用意させる達人なんです」と、ゲーブル。「この競技への彼の貢献は並外れています。彼の『オリンピックの金メダリストを育てる』という夢が叶って、本当に嬉しいです。十分それに値すると思います」

"Evan was fantastic. It was great to see one of our guys on top of the podium.''

「エヴァンは素晴らしかった。僕達の仲間の一人が表彰台のトップに立っているのを見るのはすごく嬉しいことだよ」

Carol Heiss Jenkins, the 1960 Olympic champion, watched the men's free skate with her husband, 1956 Olympic gold medalist, Hayes, on TV in their home in Cleveland. As soon as the scores were announced, Heiss Jenkins said she turned to Hayes and said, "We've got to contact Evan and welcome him to the gold-medal club.

1960年のオリンピック・チャンピオンであるキャロル・ヘイス・ジェンキンスは男子シングルのフリーを夫である1956年のオリンピック金メダリストであるヘイスと、クリーブランドにある彼らの家でテレビで観戦した。得点が発表されるとすぐに、ジェンキンスは夫に「私達はエヴァンにすでに連絡を取り付けているわね。金メダルクラブに歓迎しなくちゃ」と言った。

"Then I said, 'I am so happy for Frank. I've probably known him since I was 11 or 12 years old, since we both competed in the East. He's been through so much and has had so many wonderful skaters. I'm just so happy because it couldn't have happened to a more wonderful person.''

「そのとき私はこう言ったの。『フランクと同じくらい嬉しいわ。彼のことを11歳か12歳の頃から知っているから。まだ私達が二人とも東部で試合に出ていた頃よ。彼は長いこと教えてきて、素晴らしいスケーターをたくさん指導してきたの。あんな素晴らしい人に今までこんな出来事がなかったから、とにかく嬉しいのよ」

When Lysacek was at the U.S. Championships last month in Spokane, Wash., he took particular attention to the celebration of America's Olympic gold medalists. All 12 of them, from Dick Button to Sarah Hughes, were in attendance.

先月、ワシントン州スポケーンでの全米選手権にライサチェックが出場したとき、彼はアメリカのオリンピック金メダリストの祝典に特別な関心を引いた。彼ら12人全員、ディック・バトンからサラ・ヒューズまで出席していたのだ。

Now he's part of that group.

今や、彼はあのグループの一員なのだ。

He's just now soaking that in.

ちょうどそれに頭から浸かっているところである。

When asked if he realized he was indeed the Olympic champion when he awoke this morning, Lysacek replied, "Uhhh ... I haven't gone to sleep yet.''

今朝(2月19日)、目覚めたときに実際にオリンピックチャンピオンになった実感が沸いたかどうか聞かれ、ライサチェックはこう答えた。「うーん・・・まだ眠っていないんです」

Lysacek is in such an Olympic daze that he couldn't say for certain whether he will compete next month at the World Championships in Torino.

ライサチェックはオリンピックでぼんやりしている状態に陥っていて、来月のトリノでの世界選手権に出場するかどうか確実なことは言えないのだという。

Nor could he even think about competing in the next Olympic Winter Games. Conveniently, those Games will be held in Sochi.

また、ソチで開催される次の冬季オリンピックに出場することについてもまだ考えられないそうだ。

He does know, however, what his reception would be like in Russia.

しかしながら、彼の反響がロシアでどのようなものであるか彼は理解している。

"I don't think they'd like to see me,'' Lysacek said.

「彼らが僕を見たいとは思いませんね」


--------------------------------------------------

(以下、一応ファンとしてのコメント)

ミーシン先生のサイクロプスの例えには脱力してしまった。
ロシアの方は物騒な表現をするのね・・・。
そりゃー、確かにライサチェックは大きいですけれども
何もそんなふうに例えなくたって・・・。
妹は「せめて黒トッポなら笑えるのに」とか言ってるけど
そういう問題でもないと思うぞ。


それはともかく・・・


これほどスケート関係者やスケートファンから賛否両論がある中、
ライサチェックのオリンピック優勝について
ファンとして浮かれたコメントをブログに綴ったり、
美辞麗句で彼がどれほど素晴らしい選手か称えたり、
あるいはミーシン先生のような意見を持つ人たちに
真っ向から反論するような内容を書いたりすることは
正直言って彼のファンである自分にも、またライサチェック自身にも
得には絶対にならないということを私はよく理解しています。

また、彼がオリンピックでどうであったかは皆さんご存知のはずですし
彼がスケーターとして今までどういう経緯を経てきたのか、
あるいは彼自身がどういう人物であるのか、
どういう考えをもってスケートをやってきたのかについては
私がこのブログで紹介している記事やコメントを読むだけで
ある程度はご理解していただけると考えています。

もしこのブログが、エヴァン・ライサチェックについて知りたいと思う方に
少しでもお役に立てるのであれば、これ以上のことはありません。


そして私が今、このブログに書ける彼へのファンとしての思いは、
先に書いた「心からおめでとう」、その一言に尽きます。
それ以上のことは、彼が競技を去るときに書いても遅くはないでしょう。


というわけで、今後ともだらだらライサチェックの情報を綴っていきます。
オリンピックで彼のファンになった方、あるいは前からファンの方、
そしてお馴染みの皆様、これからもどうぞ当ブログをご贔屓に!

4 件のコメント:

なごみ さんのコメント...

初めまして。なごみと申します。
オリンピックの演技を見て、ライサチェックさんの大ファンになった者です。(超にわかですみません)
ライサチェックさんが金メダルを取れて物凄く嬉しく、彼のことを知りたくて週末ネットで色々と情報をみて回っていました。
そしてこんな素敵な情報満載なブログに巡り逢えました。本当に有難うございます。感謝の気持ちをどうしても伝えたくて、書き込みをさせて頂きました。

Askarose さんのコメント...

なごみさま:

お初にお目にかかります。
オリンピックの演技でライサチェックに興味を持っていただいてとても嬉しいです。そしてこのような辺鄙なブログに来ていただいて、コメントまで残していただいて大変光栄です。

このブログは一応彼の情報を中心に運営してはいますが、時折私の日記じみた内容や仕事の話なども掲載されることがあります。ご興味のない話題が出てきたらごめんなさい。今後ともどうぞライサチェックを宜しくお願いいたします!

マイキー さんのコメント...

エヴァンさんが四回転なしで優勝したことで、ゴチャゴチャ言われるんだろうなーと危惧していたのですが、案の定というべきか(鬱)。
でも、アメリカのトップスケーターの皆さんは、こぞって祝福してくれててほっとしました。

記事の中で、キャロル・ヘイス・ジェンキンスさんのコメントが出てきますが、わたし、彼女のことを「安藤さんの元コーチ」としか知らなかったので、1月の全米EXで、アメリカの五輪金メダリストが紹介された時、彼女がそうと知って、かなり驚きました(無知ですみません…(汗))。
彼女のダンナさん、ヘイス・アラン・ジェンキンスさんも登場してましたが、「彼の弟、デヴィッド・ジェンキンスは銅メダルを獲得しました」と紹介されているのを聞いて、「うわー、兄弟で金と銅って凄いなー」と驚いていたら、次に出てきたのがその弟さんでさらに驚愕!兄弟揃って五輪金メダリストって…なんてスーパーな兄弟!!しかも奥さんも五輪金メダリストなんだもんなー…スゲー!!
それと、タラさんとサラさんが、たいそう美しく、素敵な女性に成長されているのが嬉しかったです。お元気そうで何よりですわ~。
エヴァンさんが、あの豪華メンバーに仲間入りしたのかと思うと嬉しくてニマニマしちゃいます。

Askarose さんのコメント...

マイキーさま:

予想通り、というか予想以上に論争になっていますね~。後で記事にしますが、ロシアの連盟は正式に抗議するようですし、なんだかキナ臭くなってきました。

アメリカの金メダリストクラブからは祝福されて良かったですね~。それにしてもジェンキンス一家には私も驚いてます。旦那さんの弟さんの存在は知らなかったですね(汗)
そしてサラ・ヒューズとタラ・リピンスキー。サラは一時期、ちょっと太ってしまっていて大丈夫かな、と思ったこともあるんですがこの前見たら普通にスリムな美人さんに落ち着いていてほっとしました。リピンスキーは綺麗になりましたね。子供の頃は本当に、小さなバービー人形みたいだったのを思い出します(って、確か私より一つしか歳が違わなかったはず・・・むむ。汗)

エヴァンさんは議論を呼ぶ金メダリストになっちゃいましたが、この先は強力な仲間達に支えてもらえるのかと思うと心強いですよね~。逆に言うと、金メダリスト同士の結束力の強さは日本では聞かない話なので(というか、金メダル自体が同じ競技でそんなに簡単に取れるものではないですが)珍しい集団にも見えるのですが。アメリカ人はセレブ同志結束が強いんですね~。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...